有田の3右衛門の窯焚き
- tsuneyoshishirai
- 2017年12月19日
- 読了時間: 4分
更新日:2018年1月5日

今年は平成29年11月22日(水) ~ 26日(日) で有田陶磁器まつりがありました。その中で1日だけ有田の三右衛門(今右衛門、柿右衛門、源右衛門)の窯焚きを見ることができます。今年は25日(土)が公開日でしたので行ってきました。

荒尾から湾岸沿岸道路を使えば、大川東まで一気に行けるので、有田まで2時間30分弱程で着きます。柿右衛門、源右衛門はそれぞれ16時、17時まで窯焚きを公開しているのですが、今右衛門だけは朝の9時半までだったので、ちょっと急いで行きました。その甲斐あって、9時過ぎに無事に着きました。有明沿岸道路様々です。

今右衛門の窯は単窯で、写真上は本焼きの窯です。素焼きの窯は別にあります。窯焚きの職人さんは(多分)3人、専門の人がいます。現場を管理している人は、窯焚き30年というベテランさんでした。
磁器を焼き上げるのには、ねらし焚き、せめ焚き、あげ火という焚き方をするそうです。この辺りは陶器と同じなのかは良く分かりません。
ねらし焚きは0度から約900度くらいまで、20時間くらいかけて徐々に窯の温度を上げていきます。これにより窯の湿気をとるそうです。次にせめ焚きですが、約900度から約1250度まで約15時間くらい、炎をきらせないように薪を投げ入れ続けます。この状態で酸素が不足する状態をつくり、還元焼成させます。そして、最後にあげ火で約1250度から約1300度まで約10時間かけて焼成させます。この過程で酸化焼成させます。

窯の温度は陶器と同様にゼーゲルコーンを使っておこないますが、左のような複数個の温度計が窯の色々な部分につけられており、これによっても管理しているとのことです。
テストピースで釉薬の溶け具合を見るの陶器と一緒です。

この本焼きの状態で歩留まりは8割くらいで、最終的に5割くらいになるそうです。貫入などが、味や良い姿になる陶器と違って、磁器はこの辺が凄くシビアです。
今右衛門の窯焚きは1か月半に1回くらいのペースでおこなわれているそうです。

元々は大川内山で作った磁器の赤絵付けをするために、この有田までわざわざ運んで、今右衛門で絵付けし、色鍋島としたそうです。現在のように有田で全て作るようになったのは明治にはいってからだそうです。
ギャラリーで作品を見てから柿右衛門窯に向かいましたが、ギャラリーでは14代(人間国宝)をお見かけしました。

柿右衛門窯の窯焚きは昨年も見たのですが、今年も見てみました。

今右衛門に比べると圧倒的に観光客が多く、観光バスなども来ていました。
窯は単窯を利用しています。また、素焼きの窯は別の窯を使うのも今右衛門と同じです。
柿右衛門窯の窯焚きは、この時期に始まり、年4回~5回おこなわれるそうです。製品の歩留まりは最終的に5割程になるそうです。

昨年聞いた話だと、窯焚きの職人さんは4人で24時間回していくそうですが、その他の部署からも応援は来るそうです。こちらもゼーゲル以外に温度計を使って温度管理をしています。

今右衛門もそうですが、柿右衛門も高すぎて、とても手が出ませんね。そんなことを思いながら、柿右衛門窯を後にして源右衛門に行きました。
ちなみに、直ぐ近くに人間国宝(白磁)の井上萬治窯があります。

源右衛門は今右衛門、柿右衛門に比べると現代的な模様の磁器で、2つの窯元の作品と比べるとお値段もかなり買いやすいです。このため、お客さんの年齢層はかなり低いです。

陶器と比べると高いと思うのですが、普段使い出来るお値段です。
源右衛門も単窯で炊かれています。
しかし、今右衛門、柿右衛門と比べると”勝手に見て”的な感じの公開だったので、特に質問をすることもなく、ただただ作業を見ていました。このため、詳しいことは聞けず。

皆、淡々と作業をしていました。

しかし、源右衛門が2つの窯と違ったのは、この日は絵付けの現場等も立ち入って見ることが出来たことです。
職人さんが流れ作業で一つ一つ絵を書いていく現場は、最新の注意を払って作業しているのが良く分かるもので、非常に貴重なものを見せてもらった感じがしました。

全て手作業!高い物は高いなりの理由があることが良く分かりました。
何か買って帰ろうかと思いましたが、源右衛門では年始のセールで買っているので、今回は仕事だけを拝見して帰りました。
でもそれだけの価値はあったように思います。

陶器の窯元と異なり、ある意味、産業として流れ作業として発展してきた有田の磁器の窯元ですが、大変な世界だなぁ~と思わせるものでした。
しかし、良いものが見れたと思います。また来年も来たいと思います。

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